本教材ではこれまでに、新規登録やログインフォームの作成、認証済みユーザー専用のダッシュボードページを作成してきました。
ここまでたどり着いたあなたなら、もうお分かりでしょう。
今はAIの手を借りれば、誰でも一人でも、様々なウェブサービスを作ることができる時代です。
クローズドの会員サイトや販売用HPの作成はもちろん、オリジナルのアプリやゲームの開発だって可能です。
・・・とはいえ、わざわざそのような競争の激しい分野に参入することはありません。
ここで学ぶべきは、綺麗なホームページや人々を夢中にさせるゲームアプリを作ることではなく、多くの人が様々な利益を生むことのできるAPIサービスを設計することです。
あなたの作成したAPIを利用するユーザーが、多くの人たちに何らかの価値を提供できるようにするために、どういったデータを収集し、管理し、提供するか、それを考えることが重要です。
主なAPIサービスの事例
API(Application Programming Interface)には、様々なバリエーションがあります。
いずれの場合も、どのようなデータを提供し、どのように情報を加工するかによって、その用途や価値が広がります。
データマッチングタイプ(例:ローカルデータAPI)
地域の生活に根ざした情報を提供するAPI。
ある地域に特化したユニークな価値を提供できます。
具体例①:ローカル飲食店API
地元の飲食店やカフェのメニュー、営業時間、価格帯、イベントなどの情報を提供するAPI。
このAPIを利用するユーザーは、飲食店関連の様々なアプリやウェブサイトを効率的に作成できます。
具体例②:ローカル農産物API
生産者のプロフィールや作物の種類、収穫時期、販売情報などの情報を提供するAPI。
このAPIを利用するユーザーは、農産物を販売する独自のウェブサイトやアプリを効率的に作成できます。
具体例③:クリエイティブマーケットAPI
地元のクリエイター(アーティスト、デザイナーなど)の情報や作品を提供するAPI。
このAPIを利用するユーザーは、地元のクリエイターやコミュニティの活性化を促進できます。
データ可視化タイプ(例:シミュレーションAPI)
様々なデータに基づいたシミュレーションを提供するAPI。
このタイプのAPIを活用することで、ユーザーは収益性の高い戦略や戦術を提案できます。
具体例④:小売業シミュレーションAPI
小売業に関するデータ(消費者動向、競合状況、売上予測など)から、新しい小売店舗の開設や既存店舗の拡大に伴う経済効果をシミュレーションするAPI。
このAPIを利用するユーザーは、店舗の場所、商品ラインナップ、マーケティング戦略などを入力することで、実際の収益や市場シェアの変化などを予測することができます。
具体例⑤:環境経済シミュレーションAPI
環境関連のデータ(エネルギー消費量、排出量、再生可能エネルギーの普及率など)を用いて、環境政策やプロジェクトの経済効果をシミュレーションするAPI。
このAPIを利用するユーザーは、プロジェクトの規模、投資額、地域情報などを入力することで、プロジェクトの収益性や環境への影響をシミュレーションできます。
具体例⑥:農業市場シミュレーションAPI
農業分野に関するデータ(作物価格、収穫量、輸出入動向など)を用いて、農業プロジェクトや政策の経済効果をシミュレーションするAPI。
このAPIを利用するユーザーは、プロジェクトの内容や規模、投資額などを入力することで、農業市場への影響や収益性などを予測できます。
難しそうに感じるかもしれませんが、これはあくまでも一般的な事例です。
そもそも上記の事例は、すでに多くの人や企業が取り組んでいる分野でもあるため、個人や零細企業が参入するには不利な面もあります。
重要なことは、あなたが興味を持てる分野で取り組むことです。
今から説明するように柔軟な発想をもってすれば、APIサービスの可能性はどこまでも広がります。
個人や零細企業でAPIを開発する場合
例えば、あなたはボクシングがとても好きな人だとしましょう。
その場合、あなたはボクシング選手の公開データや試合成績などの情報をデータベースに収集し、そのデータを色々な条件で抽出できるAPIを作成できます。
APIのデータ抽出方法は自由に設定できます。例えば、勝率50%以上の選手の一覧を抽出したり、ある階級のチャンピオンを年代指定で抽出するなど、あなたのアイデア次第で様々なデータ提供が可能です。
選手の成長率や他の選手との相性、次戦の勝率などをオリジナルグラフで表示したり、試合のシミュレーションを提供することもできます。
あなたの収集した独自データの数が増えるほど、それは他にはない貴重な情報源となり、さらに他のAPIと組み合わせることでより多くの人たちに利用される可能性が高まります。
たとえば生成AIのAPIと組み合わせて、データに基づいた解説をAIにさせることも可能です。
それはいわゆる「実況AI」ですね。
生成AIの音声出力能力はすでに高い水準に達しており、独自のデータさえあれば、画期的な実況AIアプリを作成することができます。
それを自分で作成しても良いですし、他の人や企業にあなたのAPIを利用してもらう形でも良いでしょう。
とにかく独自のデータベースとAPIを用意しておけば、それがあなたの資産となり、そこから様々なビジネスチャンスを得ることができるわけです。
また、ブログを運営している人なら、APIを通じた被リンク効果によってブログのSEO向上も期待できます。
最初は無料でAPIを提供し、知名度や機能性が高まってから月額制のサブスクリプションにするのも良いでしょう。
独自のデータベースはAIに勝手に学習されることもなく、著作権で保護される対象にもなり得ます。
それは他者にそう簡単に真似されるものでもなく、いわば「早い者勝ち」です。
だからこそ誰よりもいち早く、あなたの興味のある分野でのAPIサービス開発に挑戦してください。
補足: データの収集や提供に際して、著作権やプライバシー保護などの法的問題にも注意が必要です。スポーツ選手やイベントに関する情報は、関連組織や選手自身の許可が必要な場合もあります。APIサービスの開発前に、法的な面でのリスクを確認し、適切な対応を取るようにしてください。
API開発時の設計サンプル
それではダッシュボードページをつかって、実際にAPIを開発していきましょう。
AIといえば「AI画像」を連想する人も多いようですし、本教材では、AIで作成した画像を誰でもアップロードできるダッシュボードページを作り、画像の購入者もしくはAPIユーザーだけがその画像を取得できるアプリケーションを試作してみます。
そのアプリケーションでは具体的にどういったことができるのか?
まずはAPIの機能や、これから作成するダッシュボードページの設計を考えます。
名称(仮):画像販売アプリケーション
アプリケーションで出来ること:
・ログインユーザー(クリエイター)はダッシュボード①で画像をアップロードできる。
・トップページ(ダッシュボード②)では、誰でも好きな画像を購入できる。
・購入した画像はマイページ(ダッシュボード③)からダウンロードできる。
・マイページで任意のクリエイターをサブスクリプションすると、そのクリエイターの作成した画像を専用のAPIキーで取得できる。
ダッシュボードページの設計:
ダッシュボード①:
クリエイター用マイページ
(専用の新規登録および専用ログインフォームにて入室)
ダッシュボード②:
画像販売用トップページ
(未ログインでも閲覧可能・購入の際にはログインが必要)
ダッシュボード③:
購入者用マイページ
(専用の新規登録および専用ログインフォームにて入室)
ダッシュボード①:
クリエイター用マイページ
・作成した画像に、画像ファイル名とキーワードを設定してアップロードできる。
・クリエイターのユーザー名と画像No.はアップロード時に自動設定。
・アップロードされた画像データはクリエイター専用データベースに保存。
・アップロードされた画像はクリエイター用マイページ上に新しい順で表示される。
・表示される画像の枚数は最大3枚、画像ファイル名とキーワードも表示する。
・矢印で次の3枚を表示し、ページ数は自動表示する。
・チェックした画像を削除できるボタンを設置する。
・チェックした画像のファイル名とキーワードを編集できるようにする。
・今月の収益を表示する。
ダッシュボード②:
画像販売用トップページ
・購入者がログインしているときはユーザー名を表示する。
・全クリエイターの画像を新しい順にすべて表示する。
・画像には透かしを入れ、画像上ではコピーなどのキーボード操作を無効にする。
・表示される画像の枚数は最大10枚、画像ファイル名と画像サイズ(縦×横)、クリエイター名もあわせて表示する。
・矢印で次の10枚を表示し、ページ数は自動表示する。
・違反報告ボタンを設ける(クリエイター名と画像No.を入力できる)。
・キーワードで検索するボタンを設置。
・クリエイターの画像を見るボタンを設置。
・画像の購入ボタンを設置(ログイン済み会員が購入可)。
・購入した画像は購入者用データベースに保管。
・非会員と未ログイン会員が購入ボタンを押すと(yes/no)アラートを表示して、yesならログインページにリダイレクト。
ダッシュボード③:
購入者用マイページ
・購入した画像はマイページ上に表示される。
・表示される画像の枚数は最大10枚、画像ファイル名と画像サイズ(縦×横)、クリエイター名、年月日に購入といった情報もあわせて表示する。
・矢印で次の10枚を表示し、ページ数は自動表示する。
・クリエイターのサブスクボタンを設置(購入するとAPIキーを発行)。
・サブスクを止めるボタンを設置(APIキーが無効になる)。
このように、まずは大まかな機能を書き出して、これから作成するアプリケーションのイメージを具現化していきます。
明日からダッシュボード①~③を実際に作成していきましょう。
今日はとりあえず、あなたの作成したいAPIサービスの概要や機能について箇条書きで良いので、色々と書き出してみてください。
本教材で作成できるAPIアプリケーションはこちら
・TOPページ(販売用ページ)
・クリエイター用ログインフォーム
・購入者用ログインフォーム
・APIテストページ